2012年12月28日 09:21Fujii

UIの構造を共有することは難しい

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UIの構造を共有することは難しい

何度か「UIの設計は、複雑化する方向へ圧力がかかる」と書いてきましたが、その原因のひとつに、UIの構造を共有することが難しいということがあります。

例えば、多くの要素がある場合、なぜその要素が必要なのかをプロジェクトのメンバー間で共有しなくてはなりせん。

このときに、要素が多ければ多いほど時間がかかります。

また、要素が少なくても、最終的にその表現や振る舞いになぜなったのかを共有する必要があります。

こういったことをメンバー間で共有することがなかなか難しく、場当たり的にUIを設計することで複雑化していってしまいます。

対処方法

短期間、大人数が関わるプロジェクトでは、共有コストが問題になりますので、人数を減らすことが大事です。

関わる人数を減らすこと以外の対処方法は、シンプルにすること、個別最適化をしすぎないことになります。

2012年12月03日 01:04Fujii

2種類の道具の進化のしかた

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つっぱり棒とは何か?

賃貸住宅の強い味方のつっぱり棒。

世の中にはいろいろと収納に頭をひねらせている方達がいて、様々な使い方をしています。

例えば、洋服をかけたり、カーテンレールにしたり、なんてことから、トイレットペーパーの収納にしたりといろいろです。

では、つっぱり棒は家具なのでしょうか?

家具との比較

家具といえば、本棚やベッドから、洋服ラックなどあります。

つっぱり棒と比較すると用途が限定されています。

つっぱり棒は、壁との隙間にうまく使えば本棚にもなり、高い位置につければ洋服ラックにもなります。

自分自身、収納に考えを巡らした時に、ある商品を買うか、つっぱり棒を使うか比較することがあります。

つっぱり棒は、アイデアが必要です。

言ってしまえば棒ですので、それをどのように使えば、自分がしたいことができるのかを考える必要があります。

そういう意味では、普通の家具ではありません。

見た目も、いかにもこれは、何かをするものだ!というものではありません。

例えば、天井に棒があるだけです。

それでもやりたいことを満たします。

不要になったら、取り外せば、なくなりますし、また別のところに棒を渡せば違うことに使えます。

この柔軟性の高さも商品化された家具とは異なります。

家具のように商品にするというのは、用途を限定するということ

例えば、何かを切るときに、最初は手頃なものを探して、石を拾います。

その石で何かを切ろうとしたところ、より鋭いほうがよいということで、研いでいき、それがやがて包丁になったかもしれません。

切るというタスクに限定して最適化することで、包丁になるということです。

本棚は、最初は壁に立てかけておいたかもしれませんが、やがて、本をおくために特化し、段ができ、板を重ねて一定の大きさをもったものになったのかもしれません。

ユーザーの本を置くというタスクに限定して最適化することで本棚になったということです。

違うことに使われる

書籍の題名にもなっていますが、「考えなしの行動」をユーザーは行います。

飲んだペットボトルを細い穴にいれたり、傘をポケットにかけたりです。

本来違うことに使われるものを、ユーザーは無意識でほかのことに使います。

実際に全く無意識のこともあれば、ユーザーは知っていてそれを行うこともあります。

椅子がなければ壁を探して背もたれにしたり、パーティーの飾り付けを引っ掛けるためにカーテンレールを使ったりということをユーザーは意図的に行います。

ユーザーはそのときの目的に応じて使い方を考え、変化させています。

近くにあるものを眺めて、アイデアを練り、タスク自体がそこで作られています。

無印良品では、そういった例、ゴミ箱を靴箱にしたり、ブックエンドを洋服の収納時のしきりにしたりといった例を紹介しています。

作り手が考えた用途以外にユーザーがほかの用途で使っている可能性があることを知っているからこそ紹介しているのだと思います。

無印良品では、アジャスターポールという名のつっぱり棒から、マグネットフック、ベッドに、冷蔵庫、そして住宅まで多様な商品があります。

こういったラインナップをみてみると、アジャスターポールやマグネットフックなどパーツ的なものがいろいろな用途につかわれやすいかもしれません。

ただ冷蔵庫のような用途が明確なものでも、電子レンジ置き場に使われたりもします。

活用例とは想定していなかったこと

つっぱり棒の活用例や、マグネットフックの活用例というものは、いわば作り手が想定していなかった使われ方です。

むしろ、もともとユーザーのタスクを限定して作っていないと言った方がいいかもしれません。

特につっぱり棒と洋服ラックを比べてみると、洋服ラックのほうがユーザーのタスクを限定しています。

仮にユーザー調査をして、洋服ラックとしてのつっぱり棒の使用例を知ったとします。

その調査結果を元に改善をすると、それは、つっぱり棒を洋服ラックにすることになります。

しかし、それでは、つっぱり棒ではなくなってしまうかもしれません。

もちろん、別物にするという意思があればかまわないのですが、方法論を適用させると気がついたらそうなっていたなんてこともありそうです。

用途を限定しないものはわかりにくいが、いろいろなことにつかえる自由度がある

つっぱり棒のような用途が限定されていないものは、わかりにくい。

しかし、限定されていないので、洋服ラックに使うというタスク以外のタスクにも使うことができます。

商品化というときに、タスクが限定される傾向があるのは、実はわかりやすさのために限定しているかもしれません。

使い方は本来いくらでもあり、状況や使い手のアイデアによって使用例は増大するはずです。

例えば、またまた無印良品ですが、「体にフィットするソファ」という商品があります。

大きなクッションのような形をしていてふにゃふにゃと柔らかいものです。

この物体はそういったものですが、この物体の使用例のひとつに「ソファ」があるだけです。

座るというタスクに使ったらこうなるという例を強調するために、「ソファ」というネーミングになっています。

しかし、実際はベッドのようにも使えるし、使い手次第で使用例は増大するでしょう。

ただ、それをどう使ったら良いのかアイデアが浮かばない人向けに、使用例のひとつを前面に出したのだと思います。

これは、料理の材料と、レシピの関係にも似ているかもしれません。

素材を見て使い方がわからない人のためにレシピがあります。

使い方とは発想

使い方がわからないというと、使い方はひとつしかないように聞こえますが、使い方は発想次第で増えます。

つまり、ある使い方に最適化するということは、発想を制限することになる場合があります。つっぱり棒から洋服ラックへの流れがそうです。

それに対して、つっぱり棒は変えずに、使い方のレシピを用意する流れもあります。

ふにゃふにゃのクッションを「ソファ」という商品とすることもその流れかもしれません。

2種類の道具の進化のしかた

ということで、道具の進化のしかたには2種類あります。

1つは、選択した個別のタスクにより特化するタイプ。

2つめは、多くのタスクを紹介してレシピのようにしたり、主要なタスクを強調するけれど、そのもの自体は大きく変えないタイプです。使い方を広げるタイプとも言えるかもしれません。

ユーザー調査などするとどうしても、個別のタスクに特化する方に行きがちなので、使い方を広げるタイプという選択も残しておきたいところですね。