「足し算」か「引き算」か
同じ「ユーザーのわかりやすさ」を求めるチームでも、「足し算」を使うのか「引き算」を使うのかで全く出来上がるものが異なるので注意しなければならない。
ユーザーのわかりやすさを求めるという意味では共通点のある人々でも、異なる二つのタイプに分けることができる。
それは、「わかりやすさ」のために「足そうとする」足し算タイプと「減らそうとする」引き算タイプだ。
足し算タイプ
足し算タイプの特徴は、一見ロジカルである。つまり、「ここがわかりにくい」から「ここに説明を加えよう」といった思考をする。
「一見」という言い方になってしまうのは、要素が増えればごちゃごちゃするから、 そのままわかりやすくなるとは限らないという点まではロジカルにつながらないからである。
自分で気がついた「わかりにくい箇所」に対して、なにか責任のようなものを感じてしまい、そのまま放置することはできないと思う人なのかもしれない。
放置しないということを前提にしてしまいがちなので、解決策が思い浮かばないときには、「とりあえず説明をしておこう」となってしまう。
そうすればその箇所に関しては「責任を果たした」気分になれるからだ。
結果的には、責任回避のための注意書きだらけの取り扱い説明書のようになる。
引き算タイプ
引き算タイプの特徴は、複数の箇所を同時に認識する絵描きタイプだ。
ひとつの箇所が問題だと考えたときに、そこをすぐに手を付けるのではなく、一歩ひいてほかの箇所と比較しながら考える。
あるルールがあって、それから外れているからわかりにくいのか?、あるルール自体が崩れかけているのか?、一度に把握できる数を超えてしまいそうだからなのか?などなど。
もちろん実際にそのタイプの人が絵描きかどうかは関係ない。ある意味「要素を増やせば、把握するのが大変になるからやめておく」という考え方なのでロジカルとも言える。
こういったタイプは、常にではないにしろ、結果的にあるものを減らすことで複雑さを減らす方法もありえることを前提に考える。
タイプが異なれば、目標が同じでも全く異なるものができる
スペースや人が一度に把握できることに限りがある以上、「引き算タイプ」の視点がなければうまくいかない。
足し算タイプでは、際限無く要素が増えてしまい、結局その限界に達してしまうからだ。
つまり、同じ「わかりやすさ」を求めてもタイプ次第では異なるものができてしまうのである。
実際のプロジェクトの経験からは、メンバー内にどちらのタイプも混在することが多い。リーダーが引き算タイプでも、ほかのメンバーは足し算タイプであることもある。
また、同じ人でもそのときの立場や役割によっては無意識のうちに足し算タイプになることもある。(例えば詳細なレビューを頼まれた場合など。)
偏見ではあるが、文章による説明が好きな人は足し算タイプが多いのかもしれない。もしくは、業務上、文章によることこまかな表現や説明を常日頃求められる人、プレゼンよりも論文など文書を作らなければ評価されないような人はついついより多くの説明を一度にしたくなるくせがあるのかもしれない。























